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注文住宅特有の土地探しの方法!

「マンションや分譲住宅なら簡単だけど、やはり自分たちらしい家が欲しい!」

「家を建てるには、まず土地を探さないと・・・」

「どんなところに気を付ければいいんだろう?」

 

注文住宅を建てる時、最初の関門になるのが土地探し。

土地探しを始めようとすると、途端に難しくなる「注文住宅特有の土地探しの方法」について解説していきます。

 

まず初めに、

「私たちは、住まいの設計にあたって、敷地とその周辺環境の持つ長所を引き出すことを一番に考えています」

具体的には、クライアントの想いをていねいに聞き取り、土地のコンテクスト(文脈)を読み込むところから設計がスタートしますが、暮らしの質に決定的にかかわるのが、その土地が持つ特徴・ポテンシャルなのです。

 

とはいっても、そのような土地を探すのはたいへん!

そこで、私たちは、土地購入前にプランニングすることをおススメしています。

「購入前のプランニング」によって、

・その土地に、どのような家が建つのか?

・土地の短所を建物の工夫で克服できるのか?

・光や風を採り入れ、四季を感じられる家になるのか?

・予算的に可能なのか?

を検討してから、購入するかどうか判断することができます。

 

「土地探しはデザインの一部」と考え、土地探しのお手伝いをしています。

 

 

目次

1.土地を購入する時の流れを把握しておこう。

2.土地の目利きになろう。どこを見る?

3.土地の欠点をどう克服したのか?実例。

 

 

1.土地を購入する時の流れを把握しておこう。

 

土地探しの際には、

・理想の土地に出会うまで探し続ける。

・良い土地を見つけてから、設計事務所や工務店を探す。

・南側道路の敷地が良い。

と考えがちです。

 

ですが、こんなこともありました。

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約3年かけて探し回り、ようやく土地を見つけました。

2、30件も土地を見て、そのうち良さそうな土地で、いくつもプランを描きました。

しかしながら、なかなか「ピンとこない・・・」と、決めきれずにいました・・・。

私たちに出会う前にも見た土地があり、

ある日、「じつは知り合う前に、こんな土地もあったんですけど・・・もう一つですよね」 と資料を見せられました。

それを見て、「いけるかも!」という印象だったので、現地調査をしてプランニングすると、

それを見たクライアントが一発OK!

 

その土地は、物件を探し始めた頃、一番はじめに紹介された土地だったのですが、

前面道路が私道で道幅も狭く、周辺が住宅密集地だったので印象が悪く、気にも留めていなかったようです。

それでも、よく調査すると、敷地の南側が3m下がっていることがわかりました。

そうなると、都心の密集地でありながら、日当たり、眺望という「大きな長所」が手に入ります。

「理想的な家ができる!」ということになり、購入の決断にいたりました。

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このように。なかなか土地を見るだけでは、その良し悪しが判断できません。

その場所に建ちあがった建物をイメージできて初めて、判断できるのです。

土地を探す際は、設計者と二人三脚で探すのが、結局早道で、後悔する心配もありません。

 

 

土地探しの流れは、

 

まず、どんな町に住みたいかイメージし、家族で共有する。

(交通利便性、周辺環境、公共・教育施設、買い物・医療施設、災害履歴なども)

  ▼

インターネットで探してみて、相場を見る。

例えば、

アットホーム  https://www.athome.co.jp/tochi/

ホームズ  https://www.homes.co.jp/tochi/

などで探してみてください。(どこで探しても、ほぼ同じ物件が表示されます)

  ▼

並行して、ライフプランをたて、おおよその土地・建築費用を予定しておく。

  ▼

地域・価格などの条件を満たす土地情報を見て、候補地を絞る。

すべて満たすものは見つけられる可能性は低いので、

まずは現在の情報の中で、エリア、面積、予算などを比較し希望に近いものを選んでください。

  ▼

不動産会社に問い合わせ、現地確認。実際に土地を見ることがたいせつです。

  ▼

トライアルプラン申込み。(弊社の場合)

ご要望をヒアリング、敷地調査、法規・行政調査の上プラン作成

  ▼

思い通りの建物が建つことを確認できれば、購入希望の意思を伝える。

買付け申込書を記入(売り主さん側に購入の意思が正式に伝わります)

・5000万円の物件であったとしても、希望額(例えば4000万円など)を書くことも可能です。

 (売り主さんにとっては気分の良い話しではありませんので慎重に)

・銀行の融資が決まっていない場合は、「現行の融資が付いたら購入します」という融資特約を「有り」とします。

必要に応じて、住宅ローンの事前審査も進めておきます。

  ▼

重要事項説明を受け、土地売買契約を結ぶ。手付金(相場は物件価格の1割等)の支払い。

  ▼

住宅ローン本申込み(土地の売買契約書、建物のプラン、建設費の見積書が必要です)

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住宅ローンOKとなると、土地の金銭消費貸借契約、ローン実行、土地決済

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設計契約を結ぶ。基本設計・実施設計

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見積り、工事契約

  ▼

建設工事

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住宅ローン 建物の金銭消費貸借契約、ローン実行、建物決済

  ▼

引渡し、引っ越し

 

という流れです。

 

 

次に、不動産仲介の仕組みを理解しておいてください。

 

レインズを知る

不動産会社が情報を交換するための「レインズ」というネットワークがあります。

 ※レインズ Real Estate Network Systemの頭文字で、すべての不動産会社が加入しています。

 

土地の売却依頼(専任媒介契約)を受けた物件情報は、必ず、このレインズに登録しなければなりません。

これが、どの不動産会社にいっても同じ物件が掲載されている理由です。

(ただし、あえて専任媒介とせず、表に出さない悪しき慣習も残っているのが現実ですが・・・)

 

 

仲介の仕組みを知る

土地を売りたい人(売主)と、土地を買いたい人(買主)を結び付けることを「仲介」といいます。

 

土地を売りたい人(売主)不動産会社Aに行き、土地の売却を申し込みます。

そうすると、契約を交わした不動産会社Aは物件をレインズに登録します。

 

土地を買いたい人(買主)不動産会社Bへ行き、土地探しを依頼します。

そうすると、不動産会社Bはレインズから物件を探し、気になれば、さらに詳しい情報を請求します。

 

こんな風に、不動産会社Aと不動産会社Bが協働で売主と買主を結びつけ、売買を手伝うのが「仲介」の仕組みです。

仲介手数料の上限は、物件価格×3%+6万円で、それぞれ契約した不動産会社にのみ支払います。

 

 

土地の価格を知る

不動産会社が土地価格を査定する時に参考にするのが、路線価や取引事例。

おおよその土地価格=路線価÷0.7 (整形地は1.1倍、不整形地0.9倍とする)

ですが、これはあくまでも目安で、実際の価格は売主と買主の交渉で決まります。

 

 

 

2.土地の目利きになろう。

 

土地の「掘り出し物」はないと思ってください。

お買い得と思える物件には、必ず理由があるので、特に以下のような場合は気を付けてください。

 

・幅4m未満の道路

  道路中心から2mは道路とみなされ、その部分は建物を建てることができない。

  建設重機が入ることできず建設工事費が割高になる場合がある。

  私道の場合も多い。位置指定道路でなければ建設不可の可能性もある。

 

・高低差がある土地

  擁壁や建物の深基礎、杭などが必要になり、工事費が大幅に増える。

  既存擁壁の安全が不明なことが多い。

 

・変形の土地

  土地面積のわりに、思ったほど床面積がとれない。

  建物が変形になれば建築費が増える。

 

・インフラ設備の整っていない土地

  給水管が20φ未満の場合、道路を掘削し給水管を新設する。市納金が必要な場合もある。

  下水管、ガス管が引き込めない土地がある。

  雨水の排水先がない場合、雨水側溝や雨水管などの対策が必要になる。

 

・住環境を守るため法規制が厳しい土地

  低層住居専用地域など、許容建蔽率や容積率が小さい。

  また、外壁後退の規制などにより必要な床面積がとれないことがある。

 

・災害など注意すべき履歴がある土地

  過去に洪水や地震があった場合は再発の可能性がある。

  過去、ため池や川など地盤が弱い履歴の土地は補強費が必要になる。

 

・市街化調整区域

  農業従事者などを除いて、基本的に建物を建てられない土地。

 

逆に、

近くに公園があったり、眺望が良い、街路樹が見える、治安が良い。

駅から近い、公共施設や小中学校、ショッピングセンター、医療施設に近い。

などの長所にも目を配ってください。

 

 

 

3.土地の欠点をどう克服したのか?実例。

 

土地の短所を建築で補うこともできます。

実際に、悪条件をどう克服したのか、その実例を見てください。

 

まずは、変形地の例です。

 

・変形地

神社の参道の入口にあたる、鳥居の右側の敷地。

鳥居が一部敷地に食い込んでいます。

 

 

その上、水路が斜めに流れているため、敷地も道路から45度振った、矢印のような土地でした。

 

この敷地を活用するため、

建物本体は45度振った軸線に平行に配置して、道路側に参道に沿った「ついたて」を立てました。

参道の入口らしく、木の板張りで仕上げ、建物本体との隙間をアプローチとして活用しました。

撮影:福澤昭嘉

▷ 「参道沿いの家」 

 

 

次は斜面地です。

 

・斜面地

かつては竹林だった斜面地の一区画。

写真の背面側が眺望が良いので、建物は高い部分に建てることはすぐに決まりました。

擁壁をつくり敷地全体をフラットにしてしまえば庭もできますが、

道路際に3mものコンクリートの壁をつくることになり、道行く人に威圧的な家になってしまう・・・

 

その解決策として、かつてあった斜面を、そのまま生かすことはできないだろうかと考えました。

斜面の手前を駐車スペースとして利用し、斜面は緑化。一部コクマザサを植えることで、竹林のイメージを再現しました。

建物を建てることで、周囲に良い影響を与えることができた事例です。

撮影:福澤昭嘉

▷ 「斜面を生かす家」

 

 

次は水路があった土地です。

 

・水路や里道のある土地

かつて水路があって、水が流れていたのですが、やがて使われなくなった水路があり、

今も登記簿上に水路敷きが残っていることがあります。

そのような場合は、市や県、国から払い下げ(買取)を受けられます。

 

電柱と塀の隙間が水路敷きで、実態がないことが判りましたので払い下げを受けました。

そのおかげで、接道2mを確保することができました。

 

水路敷きを含め、幅2mのアプローチができました。

撮影:福澤昭嘉

▷ 「通り抜け土間のある家」

 

 

次は、一番問題になりやすい、幅4m未満の道路に面する家です。

 

・幅4m未満の道路

2階建て5軒長屋の妻側(つまがわ)の家が売りに出されていました。

隣家との切り離しが必要ですが、北東の角地ですが条件も悪くなさそうに思いました。

 

ただ、調べてみると、東側道路(写真左手)が幅4m未満です。

しかも、川に面しているのでセットバックは、道路中心から2mではなくて、道路の反対側から4mとなります。

ですので、長屋の狭い敷地が、さらに1.3mも小さくなりました。

 

下の写真のように細長い建物になりましたが、

2階リビングとして何とか条件をクリア。

スチールのスクリーンの奥に日当たりのよいデッキテラスを設けました。

 

 

都心部では次のような狭小地も多いですね。

 

・狭小地

敷地面積78㎡。

狭小地とはいえ、北側道路の向こう側に公園がある、とても魅力的な敷地です。

 

陽の光を採り込めるよう、リビングは3階に設けました。(ホームエレベーターあり)

商業地域で建ぺい率が80%と高かったので、床面積が確保できています。

撮影:福澤昭嘉

 

リビングからは眺望も抜群。

背後のハイサイドライトから光が差し込みます。

撮影:福澤昭嘉

▷ 「緑を採り込む家」

 

 

最後は、段差がある事例です。

 

・高低差がある土地

敷地内に高低差約1.5mの段差がありました。

 

ちょうど半階分の高低差を生かし、スキップフロアとしました。

ダイニングから、半階上がったリビングを見たところ。

撮影:福澤昭嘉

 

リビングから、半階下がってダイニング。

半階上がると、書斎スペースと個室。

この連続感がスキップフロアの魅力です。高低差が上手くプランにハマりました。

撮影:福澤昭嘉

▷ 「段差を生かす家」

 

 

以上、実例を見ていただきましたが、

欠点があっても、それを上回る魅力がある土地であれば検討に値します。

 

 

 

いかがだったでしょうか。

「土地を購入までの流れ」

「土地の目利きになる」

「土地の欠点を建築で克服する」

についてみてきました。

 

マンションや建売住宅を購入する場合とは異なる、注文住宅特有の土地探しの注意点をご覧いただきました。

 

もし、あなたの土地探し、家づくりに役立てたとしたらうれしいかぎりです。

それでは、検討を祈ります。

 

いい家ができたら、教えてくださいね!

 

 

 

 

 

▷ 「家づくりはどう始めればいいの?」

▷ 「リノーベーション!」

 

木内一徳  Kinouchi Kazunori

d+bアーキテクチャー代表  d+b architecture

公式サイト https://www.d-b.co.jp/

ツイッター https://twitter.com/kinouchi_db