佇まいまで、
シンプルに。

ブログ

デザインとアート

「建築家に依頼すると、私たちの希望を聞いてもらえないのではないか」
「自分の作品をつくることが最優先になるのではないか」
とお問い合わせいただくことがあります。

そんな時にご紹介するのが、デザイナー・原研哉の言葉。
デザインとアートの違いを明確にしています。
アートは個人から、デザインは社会から生まれるものであるというものですが、、私たちは、建築はデザインだと考えています。

以下、原研哉著「デザインのデザイン」原文です。

「アートは個人が社会に向き合う個人的な意思表明であって、その発生の根源はとても個的なものだ。
だからアーティスト本人にしかその発生の根源を把握することができない。そこがアートの孤高でかっこいいところである。
もちろん、生み出された表現を解釈する仕方はたくさんある。それを面白く解釈し、観賞する、あるいは論評する。
さらに展覧会のようなものに再編集して、知的資源として活用していくというようなことがアーティストではない第三者のアートとの付き合い方である。

一方、デザインは基本的には個人の自己表現が動機ではなく、その発端は社会の側にある。
社会の多くの人々と共有できる問題を発見し、それを解決して行くプロセスにデザインの本質がある。
問題の発端を社会の側に置いているのでその計画やプロセスは誰もがそれを理解し、デザイナーと同じ視点で其れを辿ることができる。
そのプロセスの中に、人類が共感できる価値観や精神性が生み出され、それを共有する中に感動が発生するというのがデザインの魅力なのだ。」
(以上「デザインのデザイン」)

ですので、設計にあたっては環境を読み、住まい手の要望を聞くところから始まります。そして、社会や自然との関係を調整し、住まい手の生き方を表現することから建築はデザインされます。
デザインは見えない完成性や機能を見える形にすることともいえます。

 

とはいえ、設計者の個性が全く出ないかといえば、そういうこともありません。
建築家・村野藤吾は、
「99%関係者の話を聞いても、1%の村野が出る」
と言い、多くの名作を遺しました。

まったく、作者の個性が出ないということはありませんが、
冒頭のような、住まい手の希望を受け入れてもらえないというようなご心配は全く必要ありません。
むしろデザインの拠り所となりますので、ご安心ください!